Felix Gonzalez フレックス ゴンザレス
Untitled(portrait of Ross in L.A.), Felix Gonzalez, 1991, the Art Institute of Chicago

飴が壁際で山積みにしてあります。美術館で見ると、結構戸惑います。


この飴の総量は、79.3kg(175パウンド)もあり、お客さんはこの飴を自由に持って帰っていいことになっています。そう聞くと何か可愛らしい作品に聞こえますよね。でも、このフレックス ゴンザレス(Felix Gonzalez)の作品の裏側には、ちょっと悲しいエピソードがあるのです。


作品のタイトルにある"Ross"は彼の恋人。RossはAIDSに侵されていました。
その恋人が時の経過とともに死に近づいていきます。

飴の総量79.3kg(175パウンド)は、彼女の体重です。

お客さんはその飴を自由に持ち帰るわけですが、それは、時の経過とともに彼女の体重が減っていくことと重なります。

彼はAIDSによって失われていく恋人の姿を、この作品に表しているのです。




「観客の手によってその形を変えていくアート。」
アートを語るときに評される、彼の作品の特徴の一つです。

飴の種類も、積み方も規定されていません。
学芸員の方が自由に積んでよいことになっています。
決められているのは、飴の総重量のみ。

「アートはアーティストの手によって作成するもの」という枠に捉われず、
「アーティストはコンセプトを出し、作成するのは誰でもいい」という考え方がそこには流れています。
以前ご紹介したデュシャンの影響がここにあることが分かるかと思います。


コンセプトが作品。
彼はすでに亡くなっているのですが、この作品が生き続けている理由はそんなところにあるようです。


でもこういう修飾語だけでこの作品を片付けるのは、寂しい気がしますね。



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2008.02.03 | Comment:0 | TrackBack:0