
目を見開けど実景は見えず。ただ、己、心、凝視するばかり也
I open wide my eye but see no scenery. I fix my gaze upon my heart.,
Takashi Murakami, 2007
今、村上隆の回顧展©MURAKAMI が行われています。
去年の10月末にロサンゼルス現代美術館(MOCA)から始まり、ニューヨーク ブルックリン美術館、フランクフルト 近代美術館、スペインのビルバオ グッゲンハイム美術館と回ります。(日本に行かないのは残念。)
1991年からの主要な作品が一堂に会し、村上隆の変遷が見られる展覧会。
プリントや図版では何度も目にしたことがあったものの、実物を見るのは私も初めてでした。
思った以上にすべて巨大でビックリ。
上の絵は、その中でも一番新しいもの。だるまさんシリーズの一つです。
242.6 x 281.9 cmと大きなもので、細部をよーく見ると眉毛がピンクで縁取りされていたり、目がカラフルだったりと、古典的な日本画の中にもイマドキな空気が流れています。カッコいいです。
もともと、東京芸大の日本画の博士課程出身。と同時に、日本のアニメにも強い関心がある村上隆。そのため彼の作風の特徴は、「オタク&アニメ文化」+「日本画的要素」
この二つの共通点は、SUPERFLAT(スーパーフラット)だ!、と提唱したことでも有名です。
727, Takashi Murakami, 1996
どういうことかというと、日本画、たとえば平家物語の絵巻では、遠近法が使われておらず、全てが"平面"に、同時多発的に描かれています。一方、マンガも一コマずつ枠で囲まれてはいるものの、ページ全体でみると全てが"平面"に描かれています。
つまり、どちらもフラット。スーパーフラット。というわけです。
高額で取引される現代アートには、ウンチクが必須。村上隆は、小さな日本市場で売れることよりも、大きな市場のある欧米で受け入れられることを意識していたので、どんな提唱をすればウケルのかを徹底して考えていました。スーパーフラットは彼の代名詞というほど、欧米にウケタのです。
右のヴィトン。結構多くの方がこの柄を目にしたことがあるのではないでしょうか。カラフルなモノグラム。これも彼がデザインしたものです。
村上隆はオタク文化を欧米に紹介するのと同時に、広く多くの人にアートに親しんでもらいたいという思いも持っていました。
eye love superflat (white), Takashi Murakami
ヴィトンとのコラボレーションは、商品を通して、より多くの人の目に触れ、アートに関心を持ってもらうきかけになればいい、という思いから来ています。
この他、六本木ヒルズのキャラクターだったり、そのキャラクターのグッズだったり、精力的に、「多くの人の目に触れる、かつ買える」制作活動を行っています。
・市場は、日本じゃなくて欧米!・多くの人の目に触れるグッズの制作
と、あまりこれまでの日本人のやってこなかったことを大々的にしているだけに、商業的すぎる!などと、国内での彼への風当たりは強いものがありました。
(今となっては、十分結果を出しているのでもう誰も文句は言えないでしょうけれども。。。)
達磨図、河鍋暁斎
一番最初にご紹介した絵は、もともと左の日本画をもとに描かれたものです。
村上隆はこの暁斎の達磨図を見たときの様子をこう語っています。
「その達磨絵は、観れば観るほど阿保らしい絵なんです。まず大きすぎるし、きっと当時の突飛なクライアントが暁斎につくらせたけれど、そのうち貰い手もなくなり、流れ流れてプライスコレクションに行っちゃったのかな・・・・・と。でもある種、日本人のスケールを超えた突飛な絵とも言えそうで、そこに、やはり日本で受け入れられない絵を描いている自分を重ね合わせたところにビジョンがくっついた。」
(ARTiT No.17 村上隆インタビューより)
村上隆が、日本の存在感を現代のアートシーンに印象付けたのは紛れもない事実であり、その成果は大きいものだと思います。(日本の影、ほんと薄いですからね。いいもの、たくさんあるのに!)
ぐいぐい前に打って出るのが苦手な日本人は、そうできる人が羨ましいのかも知れません。
自分の良さをひたむきに伝えようとすることは、悪いことじゃないと思います。もっと前へ前へ!が今の日本には足りないのかも知れません。
横並びなだけじゃない、突飛なものも受け入れられる日本であるといいな、と感じます。
参考サイト
・©MURAKAMI
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2008.05.02 | Comment:2 | TrackBack:0

A Sudden Gust Of Wind (after Hokusai), 1993, Jeff Wall
あーっ! 書類、飛ばされちゃった。
これは、ジェフ・ウォール(Jeff Wall) の写真作品。
さて、実際の写真でしょうか?
実は、綿密に設定され、複数の写真を合成したものです。
もともと、ジェフ・ウォールは大学でアートを教えるほどその歴史に詳しく、こちらの写真も実は葛飾北斎の絵をモチーフにして作成されました。
その絵がこちら、

富嶽三十六景『駿州江尻』, 葛飾北斎
どうです??よーく、見比べて下さいね。
かなり、似せてるでしょ。
(ジェフウォールの絵)→(葛飾北斎の絵)
笠を抑えている人 → キャップを抑えている青年
笠が空高く飛ばされた人 → 帽子が空高く飛ばされたおじさん
撮影されたのは、カナダ。彼の住んでいるところです。
ジェフウォール曰く、
この北斎の作品を写真にするには、まずこの状況を創って、編集できる素材をたくさん作らなければいけないと思ったんだ。だから僕たちはたくさんの紙が空中で舞うようにして、その形を組み合わせて、見えない空気の流れを3次元で表現ようにしたんだ。紙が奥に動くと、私たちからは離れて小さくなるよね。僕はただ、そこに力を注いで、うまく全体が構成できるように頑張ったんだ。何のガイドもないからね、ただ感覚だけ。本物に見えるかどうか。本当はどうか、本当はどうあるべきか。そうやって制作したんだ。
I thought that the only way to archive that was to first create chance situations, to create a lot of material to edit. So we created a way a lot of paper could be moved in the air and then tried to think of both the rectangle and the invisible air current in three dimensions. As the papers move in depth, they move away from us and get smaller. I just worked hard on it and tried to compose. There is no guide, it's just a feeling, a sense of the real, how things really are or would be.
("interview Jeff Wall" published in German in Revolver 03/2004, copied from MOMA Jeff Wall)
いや、まったく、お疲れ様です。
彼は、一枚の写真にすごーーーーく、時間を掛けます。
ときには一年!!!
彼にとって、写真は、映画を撮っているようなものなのです。
確かに、この写真も映画の1シーンにも見えませんか?
参考サイト
・MOMA Jeff Wall ←もっとアップで細部まで細かく見れます!
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2008.04.15 | Comment:0 | TrackBack:0

3月27日から30日にかけて、ニューヨークではたくさんのアートフェアが開催されていました。
アートフェアとは、世界中からギャラリーが集まり、それぞれのギャラリー毎にブースを持って作品を売るイベントのことです。例えるならば、幕張メッセで開催されているゲームショーやモーターショーのアート版です。
その中でもニューヨークで一番大きな規模を誇るのが、the armory show。
世界で2番目に大きいアートフェアです。(一番は、スイスのart basel)
朝から長蛇の列で、一時は、混みすぎのため入場制限。期間中5万人程度が足を運びました。このアートフェア、どんなギャラリーでも参加できるわけではありません。
それぞれのアートフェアにはそれぞれ審査委員会(commitee)があって、応募されたギャラリーの中から一定のクオリティーを満たすものを選び出します。
the armory showと、art basel はその中でもクオリティーの高い有名ギャラリーのみが参加できることで有名で、ここに参加できたギャラリーには、ある意味、箔が付くことになります。
アートの業界における、「ギャラリー」の位置づけを説明すると、音楽業界に例えるならば、芸能プロダクションのようなものです。それぞれのギャラリーには所属アーティストがいて、新しい作品を制作するとギャラリーがその販売プロモーションを主に行います。
だから、審査の内容は主に、どんな作家を取り扱っているか、ということになります。
このアートフェア、別に買うつもりはなく、ただ見に行くだけでも面白いです。世界中のギャラリーが一堂に会しているので、普通なら一軒一軒訪ねて回るところが、デパートのように一気に見られます。一つ難点を挙げるならば、スペースがあんまり広くないので、展覧会ほどの迫力が出せないこと。でも、そのスペースをどんな風にうまく活用するかも、ギャラリーの腕の見せ所。
4月には、東京でもアートフェアが開催されます。・アートフェア東京
・101Tokyo contemporary art fair
ギャラリーに行くのにちょっと抵抗がある人にはおすすめのイベントです。
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2008.03.31 | Comment:1 | TrackBack:0

Uttar Pradesh, India, 1999, Steve McCurry
これ(上)は、報道写真家スティーブ・マッカリー (Steve McCurry)の作品。手前の力強い機関車と後ろにうっすら見えるタージマハールの対比が印象的です。
左の写真もインドで撮影されたもの。
赤い鮮やかなサーレで砂嵐から顔を守っています。
女性たちと周りを取り囲む背景の色の対比が見る者を引き込みます。
右のアフガニスタンの少女の写真は、彼の写真の中でも有名な作品です。Rajasthan, India, 1983, Steve McCurry
1985年にNational Geographic Magazine の表紙を飾り、多くの人に強い印象を残しました。
当時はソ連がアフガニスタンを侵攻し、戦争の真っただ中。少女の表情からは、少し怖がっているような、でもそれに立ち向かおうとする強さを感じます。
Peshawar, Pakistan 1984, Steve McCurry
下の2つの写真も見る者を強く引き込みます。


Bombay, India, 1996, Steve McCurry Uttar Pradesh, India, 1999, Steve McCurry
スティーブ・マッカリー 曰く、
「ただ冗談なんか言いながら真の人として接して、信頼関係が築ければ、心を開いて応えてくれるよ。そうすれば喜んで写真を撮らせてくれる。そこには種も仕掛けもないと思うよ。多くの人がする間違えっていうのは、彼らを自分とは違う人と捉えていることなんだ。だけど、一度打ち解ければ、彼らは僕らと一緒。ただ偶然、野原で働いていたり、僧侶として修道院で働いているだけ。僕が面白いなと思うのは、僕らは皆違うルールに沿って生きていいるけど、結局同じ人間なんだ。僕らは皆、同じ。ただしきたりが違うだけ。僕らは違うものを食べて、違うところに住んで、違う言葉をしゃべるだけなんだ。」
"If you can just relate to people as real people and establish some rapport, whether you joke around with them or whatever, people respond and open up, and are happy to be photographed. I don’t think there’s any mystery or trick about it. I think a lot of times the mistake people make, is that they see these people as different. But once you break that ice they’re like anybody else. They just happen to be working in a field or as a monk in a monastery. The thing that fascinates me is that we’re all playing these different roles but we’re all part of the same human race. We’re the same, but we do things in different ways. We eat different food live in different houses speak different languages."
(Interview STEVE McCURRY: CAPTURING THE FACE OF ASIA by C.B.Liddell, 20 JUNE 2007)
僕らはみんな同じ人間。ただ従っているルールが違うだけ。
頭では分かっていても、これに実感が湧かないのは、毎日耳にする報道によって誇張された情報のせいでしょうか。多くの文化に触れることは、この考え方に実感を持たせるためにも大切なのかも知れません。
参考サイト
・Steve McCurry ←すごく印象的な作品がまだまだあります!
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2008.03.25 | Comment:2 | TrackBack:0

sketch furniture, Front
これは家具です。
普通、家具は紙にスケッチを描いて、それを3次元の形に作り上げていきますよね。
でもこれは違います。
最初から、3次元で書いちゃったものがそのまま形になっているのです!
どういうことかというと、、、動画で見た方が分かりやすい↓
(ちょっと長いので、時間の無い方は、1分半以降を見るのをおすすめ)
アーティストのKatjaさん曰く、
「いつも思っていたのが、3Dのプロダクトをデザインするのに、どうしていつも2Dのスケッチからはじめるのかしら?ということ。はじめから3Dでスケッチできたら素晴らしいのに(!)というシンプルな所から始まった。それに、いつもデザインは最初のスケッチが一番よかったりするのよね。デザイナーでなくても自分の頭の中にあるイマジネーション上のオブジェを、形に出来るといいなとも思ったの。ただ、実際には自分の書いた線は見えないから、集中してないと、「あれ?この線どこまで描いたっけ?」ってこともたまにあるけど(笑)。」
(from PingMag Swedish Style TOKYO 2006)
自分の書いた線が見えないと、どこを書いたんだか分らなくなりそうですが、その辺はさすがです。
ドラえもんの小道具にありそうな世界観。見ているだけで楽しいですね。
参考サイト
・MOMA Design and the Elastic mind
・Sketch Funitureby Front
・Front
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2008.03.21 | Comment:0 | TrackBack:0
